俳句【平成26年分】

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平成26年12月

毬栗を機雷のごとく並べあり

月の海潜水艦の浮き上がり

案山子展閣僚会議開くごと

野分過ぐ快気祝の届きけり

栗飯に秋刀魚を添へて締めに柿


平成26年11月

廃線の錆びし鉄橋葛垂るる

風鈴に太鼓の音の重なるりて

鈴虫のさんざん鳴きて雨となり

庭前に山積みの梨長屋門

山峡の灼くる線路や途切れをり


平成26年10月

阿蘇越えのスイッチバック雲の峰

白南風や最南端の駅に立つ

百合匂ふ友の弔辞を読みにけり

熱帯夜象襲ひ来る四畳半

浴衣着のスニーカー履き駆け出せり


平成26年9月

万緑や社会復帰を目指しをり

母となりし太き腕や髪洗ふ

片かげり電卓叩く真顔かな

野良犬のまづは潜れる茅の輪かな

またひとつ招き外され梅雨入る


平成26年8月

雪渓や麓の宿へ風の道

生かされしことの喜び遠青嶺

妖精の息吹聞こゆる新樹かな

薫風やスケボーくるり回転す

天井から投網吊され鮎の宿


平成26年7月

花筏潜水艦のごとき鯉

蓬籠提げ覗きゐるウィンドー

玄関のリフォーム中や燕来る

大雨に色の溶けだす花の山
 
楽屋中沢庵かじる花見かな


平成26年6月

黄昏の一揆の村や野火走る

春遍路送り堂守灯り消す

落人の末裔と言ひ畑焼く

喫茶店背中合せに卒業生

風車小さき手のよく動きをり


平成26年5月

 

 

 

 

 

平成26年4月

魚河岸の帳場に飾る小さき注連

畑中を冬帽ひとつ転びゆく

星冴ゆる仮鐘楼に長き列

廃屋を守るごとの伸ぶ軒氷柱

寒の水新たに誓ひ立てにけり


平成26年3月

冬桜処刑場跡の地蔵かな

皸の発送の箱運び来る

木枯や大獅子頭睨み合ふ

吊し切り鮟鱇塚に奉納す

煤払ひ調子を合せ畳拭く


平成26年2月

日溜りの落葉にも裏表あり

冬桜壊れしままの鉄扉かな

落葉道行き着く先に父の墓

冬日さす分厚き床の天守かな

柿踏んで若気の至り思ひだす


平成26年1月

七輪の背中合わせの秋刀魚かな

栗飯のまづ大栗をほめにけり

錦秋の白鷺城の白さかな

畳み皺くつきり残る秋袷

町内の焼芋屋ほどもてもせず

 

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